Liquor License Support Blog

一般酒類小売業免許や通信販売酒類小売業免許、輸出入酒類卸売業免許など、お酒の免許について。

輸出酒類卸売業免許について

このところ、お酒の輸出が注目されているようです。
輸入はともかく、輸出に興味を持っている人は多いようです。


そもそも、酒類の卸売業免許にはいくつもの区分があります。
A 全酒類卸売業免許
B ビール卸売業免許
C 洋酒卸売業免許
D 輸出入酒類卸売業免許
E 店頭販売酒類卸売業免許
F 協同組合間酒類卸売業免許
G 自己商標酒類卸売業免許
H 特殊酒類卸売業免許

 

今日は、この中の「D.輸出入酒類卸売業免許」について。
酒類やビール卸売業免許と異なり、輸出入酒類卸売業免許には公開抽選や免許枠などの設定がありません。


ですので、「申請」はいつでもできます。この免許枠があるかないかは、新規申請者にとっては大きい話ですからね。免許枠があることで、新規申請の可能性が大きく下がってしまいます。
もちろん、枠を設定するにはそれなりの理由があってのことです。
この免許可能枠がないことで、申請者にとっては免許「取得」の可能性が広がるわけです。


ところで、この免許の取得は難しいのでしょうか。
普通の小売業免許と比べると、準備する書類が少し増えたりします。
でも、私の個人的な感覚で言えば、小売業免許の申請とそれほど大きくは違わないように感じます。


ただですね、少し難しいなと感じるのは、特に要件の部分で必ずしも、全国一律に(どこの管轄税務署でも)全く同一の処理が行われるというわけではない、ということなんですね。
一般には、条件が同じならば出る結論はどこでも同じ。
そう思いますよね?
ところが、酒販免許に関しては異なる判断が出る、そういうことがあり得るのです。


例えば、そうですね、一つの例を見てみましょうか。


「経歴及び経営能力」についてです。
一般酒類小売業免許
【申請者等は、経験その他から判断し、適正に酒類の小売業を経営するに十分な知識及び能力を有すると認められる者又はこれらの者が主体となって組織する法人である。】
この文言に続けて、以下の文章が記載されています。
1 酒類の製造業若しくは販売業の業務に直接従事した期間が引き続き3年以上である者、調味食品等の販売業を3年以上継続して経営している者又はこれらの業務に従事した期間が相互に通算して3年以上である者(一部略)
2 酒類業団体の役職員として相当期間継続して勤務した者又は酒類の製造業若しくは販売業の経営者として直接業務に従事した者等で酒類に関する事業及び酒類業界の実情に十分精通していると認められる者

上は、「一般酒類小売業免許」に関する経験要件です。
これはそれほど難しい文章ではないので、読んでもらえれば内容は把握できると思います。


近年、大昔のように酒販店で修行する(働く)ようなことがほとんどなくなっている関係上、お酒に関する業務経験を持っている人が少ないと言えます。
そういう事情から、実務上は経験がなくとも「酒類販売管理研修」を受講することを以ってこの要件をクリアしたものとして取り扱ってくれる税務署がほとんどです。

それでは、「輸出入酒類卸売業」の経験要件はどうなのかというと、実は「一般酒類小売業免許」と全く同一の内容になっています。
ということは、どっちの免許申請の場合であっても、経験要件については同じ取り扱いがなされるはずですね。


はい。
基本的は、どちらも同じ取り扱いになっていることが多いと言えます。


ところがです。
輸出入酒類卸売業免許については、この取り扱いが税務署によって異なる場合というのもあるのです。


A税務署では、上で書いたように酒類販売管理研修を受講すれば経験要件をクリアしたと取り扱ってくれます。
しかし、B税務署では「卸売業免許は小売業免許とは異なるものであって、酒類販売管理研修を受講したからといってそれで経験要件を満たす取り扱いはしない。あくまでも実際の業務経験が必要だ」と言います。
実際にそういう税務署が存在しているのは事実です。


酒類販売業免許は税務署長が免許をすることになっており、各税務署の署長が要件についてどのように求めているのかによってそこの判断が変わってきます。
そういう部分があるので、酒販免許は難しいということも言えます。
同じ条件なのに税務署によって「○」であることもあり、「×」となることもあります。

あ、一つ申し添えておきますが、何の免許であったとしても、「酒類販売管理研修」を受講さえすれば必ずOKだというわけでもありません。
経験要件をなんで求めるのかということを考えてみるとわかると思います。


酒類は非常に重要な担税物資であり、税務署としては適切な社会的管理、適切な販売管理、適切な飲酒環境を整備することで酒販店の安定的な運営を目指すことができます。
要するに、適正に酒販店が経営されることによって酒税の適正な確保が行われることが求められているわけです。
ということは、税務署が、経営が適正に運営されない、または適正に経営される可能性が低いと判断される経営者に対して、むやみに免許を交付することは、自らの首を絞める結果につながりかねません。
ですから、要件に関しては色々な面から検討がなされます。


例えば、申請者に今まで一度も事業の経営経験がないとか、申請する時までずっと学生であって、事業の経営経験どころか社会人経験もが全くない、などの場合には、申請者に対して免許を付与しても安定的な経営を行うことが本当に可能なのか、将来的な酒税の確保に資するものかどうかなど、慎重に検討されているはずです。


ですから、提出された申請書などに全く不備がないものであったとしても、税務署長の判断によっては免許の付与が拒否されてしまうなどの事態もあり得ます。


う~ん、やはり難しいですね。